孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

作業着

蔵のなかで使う作業着は自弁だから、何を着ていても良いのだけど、どんな作業着を使うかで悩む。 室は最高で35度にもなるが、蔵のなかは基本的に空調で10度以下だし、仕込み蔵は5度キープ。屋外は今の時期20度くらいまでは上がるけど、冬場になると-16度く…

対策はいくらでも打てたはずなのに

来週から収穫予定の広島菜が、肥料切れの影響で生育が停滞。あからさまに色が落ちて来ている。根っこから肥料を効かせても間に合わないから、葉面散布で対応しているけど、ここまで大きくなってたらもう葉面散布を繰り返しても焼け石に水。 そもそもの肥料設…

白米水分率

米の吸水の際に、去年までは吸水率で見ていたが、今年からは洗米前に米の水分を計っておいて、吸水後の白米水分率を目安に目標の吸水率を決めるようになった。洗米前の水分によってかなり違いはあるが、吸水率で言うと、去年よりも2~3%くらいは少なくなっ…

働きたくない

いつもより一時間ほど早く、酒蔵の仕事が終わった。 農業の方で、やらなければならない仕事がたまっているから、そっちを片付けねば、と思うが、どうも気が乗らない。 「体の疲れがたまってるし、今日絶対やらなければならない作業ではないし、三週間くらい…

機械機械

来年から、三ヶ年計画くらいで、稲作の経営を7ヘクタールほど受け継いでいく事になった。事業継承に向けての準備をじわじわ進めている。 今のところ稲作用の機械は一通り揃っているが、年期の入ったものが多いので、突発的な故障への備えと、数年以内には更…

今年の五百万石、佐香錦

酒蔵に入ってきた米のサンプルをもらったので、いつもの産直の食味計にかけてみた。 三つとも「え!?」と思うくらいたんぱく質が少なく、アミロースが少ない。つまり驚くほど品質が良い。 これら三品種は、今年の異常な高温の影響をがっつり受けているはず…

稲刈りは終わった

昨日ようやく京都旭を刈り取って、ようやく稲刈りは終わった。 旭はなかなか色がつかなくて、はたして今年中に収穫できるのか、と心配していたが、一応は成熟してくれた。登熟率は良くないが。 雨と晴れ間が交互に来るから、ハゼ干しでは全然乾かず、仕方な…

終わらない

酒造期のひとつめのピークと、農作業の最後の追い込みが重なってしまった。例年、そうならないように注意して作付け計画を立てているのだが、今年もやっぱりやっちまったぜ(六年連続六回目)。 酒蔵の休みがなくなるから、農作業は出社前と後にやらざるを得な…

乾かない

刈り取った後、ハゼ干ししている稲が乾かない。 亀ノ尾は先週水分測ったら、16,7%だったのが、昨日測っても同じ水分で、全く乾いていない。 この時期になると気温も上がらないし、雨は少ないが朝晩の温度差が大きいために朝霧に濡れてしまう。 乾燥機などな…

広島菜、白斑病

広島菜の白斑病による被害が深刻。 昨年もかなりひどくやられたため、今年は特に病気がでやすいとされる雨前後に注意して、防除回数も増やしたが、ほとんど効果は見られなかった。 連作で土壌の細菌濃度が増えたか、あるいはこの作型自体に無理があるのか、…

酒米は本当に不味いのか

江戸時代末から明治時代中期ごろにかけて、近畿地方を中心に大粒の中生種(現代の基準では晩生種)が流行した。それらの品種は、当時の肥料事情、農家を取り巻く環境に適応した性質を持っており、その性質の多くは偶然にも酒造原料として有用なものだった。そ…

倉庫の建設

堆肥を作るための、ちょっとした倉庫を建てたいと思っているのだが、その設計とかを考え始めると、これがなかなか難しい。 屋根があって、雪で潰れず、獣に侵入されずに、三十年くらいは持って、三~五十万程度で建てられたら良いな、という要件。それから、…

八雲の品種特性

八雲の来歴についてはこちら 四月二十日に浸種。幸玉ほどではないが芽を切るのは早く、四月二十七日頃には鳩胸状態になっていた。播種日は他の酒米と揃えたかったので、四月三十日にいったん水を切って、冷蔵保存。 五月九日に播種。温床マットを用いて三十…

芋掘り

普段は販売用に大量に作った野菜の、規格外とか余り物を食べているので、家庭菜園で自家用に作る野菜の分量とかがわからなくなる。 サツマイモ作ろうかな、と思い立ち、 「1日百グラムくらい食べるとして、一人頭の必要量は大体年間三十キロくらいかな? 二…

高温糖化 酒母一本目

「10月中の仕込み予定決めるけど、この日はどうしても休みたい、てのはある? 」 「17日は結納なんで、休みたいです」 「・・・・・・結納って、朝から? 」 「いや、昼ぐらいに両親が来て、それからです」 「どれくらい時間かかるもんかね? 」 「形だけみた…

なばこぎ

家の近くの裏山に、コウタケが生えるらしい。 頂上まで二十分くらいの山だから、一時間位あれば、登って降りてくるくらいはできる。だから最近ちょっと暇があると、なばこぎ(キノコ採り)にいっている。 一応、コウタケの生える場所(シロ)というのもおしえて…

幸玉の品種特性

すごくいまさらな事だけど、「幸玉」の読み方って、「さちたま」なのか「さちだま」なのか。それとも大穴で「こうぎょく」とかなのだろうか。それすらもわかっていないのだけれども。 品種の来歴はこちら 四月二十日に浸種。芽を切るのは早く、四月二十七日…

稲刈り

中生曲玉まで刈った。残りは雄町1号と、京都旭。雄町は来週くらいには刈れるようになると思うけど、旭がいつになったら熟れるのか・・・・・・霜降る前に刈れるかな?

小型もみすり器

すり鉢とボールでチマチマもみすりをやっていたら、嫁さんが見かねて良いものを持ってきてくれた。 小型のもみすり器。 籾を入れてハンドルを回せばもみすりができる。すり鉢を使うよりも圧倒的に効率がよく、玄米にも傷がつかない。 「こんなものがあったの…

蔵入り

ついに蔵入り。 毎年蔵入りするたびに、蔵のタンクとか、放冷機とか、槽なんかが赤くなっていて驚かされる。 去年の段階で、蔵の中のものはあらかた赤くなってしまったから、そろそろ打ち止めじゃないか、なんて思いながら蔵の中にはいったら・・・・・・ 休憩室の…

平成三十年度に行った試験栽培と特性調査のやり方について

H29BYの酒造期、季節前講習会で島根県で戦前に栽培されていた酒米品種のことを知った。元々、稲作の歴史や古い時代の酒米については興味があったので、それらの品種について調べてみよう、と思い立った。 「八雲」や「曲玉」などは、現在ではあまり知られ…

稲穂にまつわるエトセトラ

稲作にまつわる雑記、雑文 ・酒米は本当に不味いのか 稲作の歴史について 育種、品種改良について ・変わり穂 ・帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話① ・帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話② …

島根県の酒米品種まとめ

2017年冬から2018年秋にかけて、島根県の酒米品種に関する歴史の調査や、古い酒米品種の試験栽培などを個人的にやっていた。そこから分かったことなどをざっくりまとめてみました。 序論 ・島根県でかつて酒造用に用いられていた米の品種について 試験方法等…

広島菜

広島菜の収穫に追われている。 ようやく畑一枚分を終えたが、進捗率は二割程度。まだ二十トンくらい残っている。 10月中に収穫できるか? 順調にいけばあと1ヶ月くらいで終わりそう。蔵入りが四日後なので、それまでに農業の仕事が全て終わるかは微妙であ…

佐香錦

「佐香錦」 来歴 島根県の奨励品種である「五百万石」「神の舞」「改良雄町」「幸玉」はいずれも心白が大きく、高度精白が難しかったことから、吟醸向きの削れる米を作ろう、という経緯で開発された品種らしい。調べてみたら、品種登録されたのは2001年だが…

神の舞

「神の舞」 来歴 「五百万石」は現代の品種としては冷害に弱いため、平成五年(1994年)の大冷害の際に大きな被害をうけた事が問題になった。 そこで「五百万石」に耐冷性の強い「美山錦」を掛け合わせたのが「神の舞」である。平成八年(1997年)育種、とな…

等級の意味

乾燥を終え、籾摺りを行って、ようやく米の姿を見ることができた。 グレーダーで未熟米をずいぶん弾き飛ばしたため、収量はだいぶん減った。反当450キロ程度と結果的には予定の収量になったが、品質に関しては不満が残る。やはり青米が多いし、米の粒張りが…

幸玉

「幸玉」 来歴 「幸玉」は「改良雄町」のさらなる短稈早生化を狙った品種である。「改良雄町」の配布開始から七年後の、昭和四十二年(1967年)から配布が始まった。 「幸玉」は「改良雄町」に「巴まさり」という米を掛けて作られた。 「巴まさり」は北海道…

米の乾燥

去年、某講習会の講義で、米の乾燥方法によって米の胴割れが増減する、という話題があった。 二軒の農家の米の乾燥方法を比較し、48時間程度の乾燥時間で急いで精米している農家の米は割れが多く、60時間くらいかけてじっくり精米している農家の米は胴割れが…

改良八反流

「改良八反流」 来歴 「改良雄町」と同じく昭和三十五年に配布開始。育種を行ったのは島根県の農業試験場(「改良雄町」の育種を行ったのは、農業試験場赤名分場で、「改良八反流」は本場の方で育種された)。 「八反流2号」と「農林44号(山陰34号)」の交…