孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

酒造

日本酒の言葉でテロワールを話そう

最近、日本酒(清酒)を語る際に、フランス語がよく使われるようになってきた。 「マリアージュ」「テロワール」「ヴィンテージ」「ドメーヌ」などなど。 いずれも、ワインを語る際に使われている用語である。 日本酒を知らない外国の人に、日本酒とはなにか、…

肥料を仕込んだ

修理に出していた管理機が戻ってきたから、有機質肥料の仕込みを再開。 大体、もみ殻1トンくらいと米ぬか1,2トンくらいを使った。出来上がったら、ちょうど一町歩の田んぼに散布するくらいの量かな? 反当200㎏ずつくらい散布することを考えている。堆肥とい…

エルニーニョ

気象庁の発表によると、今年の夏ごろまでエルニーニョ現象が続く可能性は70%ほどと見込まれているそうで、その影響でことしは冷夏になるんじゃないか、と予測されているらしい。 長期予報によると島根県は冷夏の影響を受ける可能性が高いようで、今年の夏は…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話⑧

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ コンピュータソフトウェアの開発手法に「オープンソース」というものがあるらしい。これは、ソースコード(コンピュータプログラム)が公開されており、誰でも自由にそのソフトウェアの利用、修正、頒布を行うことが許可されるという、ソフ…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話⑦

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ そもそも、山田錦を越える酒米が今まで出てこなかったのは、何故だろう? 山田錦が良い酒米であることは言うまでもないが、それでも普及から八十年以上たった今でも、これよりも良いとされる米が生まれてこないのは、不思議ではないか。 理…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話⑥

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 明治以降酒造好適米がどのように開発されたのか、という経緯を書いていく前に、そもそも「酒造好適米」という概念が生まれる以前の、江戸から明治にかけての期間、酒蔵ではどのような米を酒造用に用いていたのか、という事を(多分に想像を…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話⑤

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 種の変異は、遺伝子の突然変異によっておこる。突然変異の多くは、DNAの塩基配列に変異が起こったとしても見た目にはわからないような変異であったり、栽培する人間にとっては別に得でも損でもないような中立の変異であることが多い。ま…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話④

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ここまでは主に暖地で栽培された西の横綱「雄町」を例にとった話が続いたので、すこし気分を変えて、寒冷地で名をはせた良質良食味の耐冷性モンスター、東の横綱「亀の尾」にも触れておきたい。 稲の栽培が始まったのは、中国の長江中流~下…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話③

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 遺伝とは、親から子へと形質が受け継がれる現象である。おそらく太古の昔から、子供は親に似る、という事実は経験から認識されていて、作物を育種していく際にも考慮されていただろう。ただし、具体的にはどのような方法で、親から子へと遺…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話②

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 農業は親から子へと脈々と思想や技術が受け継がれていくことの多い家業であるので、代々続く農家さんと話をしていると、思いがけず、歴史的と言っていいほどの古い言葉に出くわして驚くことがある。 たとえば「年貢」という言葉を、普通に使…

帰ってきたヨッパライ。あるいは、酒米育種のこれまでとこれからの話①

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 鍵をなくした酔っ払いのジョーク。 ある寒い日、暗い夜道を歩いていると、街灯の下で腹ばいになって何かを探している男を見かける。どうやら男はひどく酔っぱらっているようだ。 何を探しているのか、と尋ねると、酔っ払いは、家の鍵をなく…

もろみ日数

今年は、例年に比べてもろみ日数が短いタンクが多い。 僕が勤めている蔵は、一応冷房設備が備えられているので、今年の暖冬の影響でもろみの温度が上がる、という事は起こっていないはず。 むしろ、今年から作った麹を冷凍庫で保存して置くことで、作業を分…

生老ね

とある事情で、去年の生酒を、今年の普通酒に返すことになった。 元は良い酒だし、氷点以下の冷蔵庫で保存していたから、案外まだ状態は良いのではないか、と予期していたけど、ふたを開けてみたら生老ねがプンプン。 生老ねの香りは、人によって好みがわか…

米の吸湿

瀬戸内のような、冬場乾燥する気候だと、枯らし期間中に白米水分が減っていく、なんていう話も聞くが、山陰地方とはまるで別世界のような感じがする。 袋の口を切っただけで次の日には白米水分は変わってるし、たった一段、米袋を積む段が変わったら、水分率…

米袋

今日は、八反錦50%中吟の本段、添の洗米があった。 僕が勤めている蔵は全量委託精米だが、今年の八反錦50%精米は、精米後に湿気を通さないという袋に詰めてもらった。 米は湿気を吸う際に割れるという話なので、湿気を通さない袋の方が良いという話は聞い…

ラベル張り

来る日も来る日もラベル張り。 ラベル張りをするたびに思うのだが、 「酒屋で、うちの酒のラベルを見て、これがすべて人の手で貼られていると想像する人はどれくらいいるのだろうか? 」 たぶん大多数の人は、機械かなんかで貼っているものだと思っているだ…

ピルビン酸

最近は甘いお酒が流行っているみたいで、僕が勤めている酒蔵でも、全体的に日本酒度を下げて、アルコールの弱い酒を造ろう、という事になった。 そのことの是非はともかくとして、「なんかそういう酒を造ることになりそうです」と先日行われた講習会で言って…

今年の改良雄町

改良雄町を使った酒の仕込みが始まった。 まだ酒にはなっていないから、どうなるのかはわからないけれど、米を触っていて気になることがいくつか。 まず、米が非常に割れやすいという事。 米が割れないようにかなり気を使って乾燥したはずなのに、委託精米に…

良い酒米って何だろう④

良い酒米って何だろう ① ② ③ ④ たとえば、現在酒造用として用いられている酒米のデータを集計して、その相対値で①~⑨の性質を3段階評価にすることなど、できないだろうか(別に5段階評価でも10段階でも、百点満点でも一向に構わないが)。 千粒重の場合「1………

良い酒米って何だろう③

良い酒米って何だろう ① ② ③ ④ ①大粒(千粒重が大きい)……遺伝要因 大、環境要因 小、栽培法 小、 米一粒あたりの大きさが大きいほど、精米はしやすくなる。日本で主食用として栽培されている米は千粒重で二十~二十四グラム程度のものが多いが、酒米にされ…

良い酒米って何だろう②

良い酒米って何だろう ① ② ③ ④ そもそも、酒造の際に問題になる米の性質ってどんなものだろう、と考えてみて、とりあえず思いついたものを列挙してみよう。 ・精米歩留まりの良し悪し ・吸水の早い遅い ・サバケの良しあし ・麹にした時の酵素力価の強弱 ・…

良い酒米って何だろう①

良い酒米って何だろう ① ② ③ ④ D・アダムスという作家が書いた「銀河ヒッチハイクガイド」というコメディSFがある。僕の中でこれは二十世紀最高のSF小説ということになっている。 この作品の中で、とある惑星の知的生物たちが、全宇宙の全時代を通して二番…

活性にごり

今年一本目の新酒が上がった。五百万石70%の活性にごり酒。 米が硬いせいか、例年以上に米が解けず、アルコール度数がやや低めの酒になった。 うちの蔵の場合活性にごり酒は、一旦もろみの一部をモノフレックスポンプに通してすりつぶし、残ったもろみは槽…

改造試技

酒造りに関するあれやこれ 精米について ・米袋 洗米について 吸水について ・白米水分率 麹について 酒母について もろみについて ・もろみ日数 しぼりについて 酒質について ・ピルビン酸 ・活性にごり 製品管理について その他 ・作業ズボン

作業ズボン

朝、仕事に行く前に服を着替えていたら、いつも使っている作業ズボンが見つからない。 おかしいなーと思って服の入っている箱をひっかきまわしていたら、別のズボンが出てきた。 何故かはわからないがなんとなく嫌な予感がしたんだけれど、まあ、何でも良い…

高温糖化 酒母一本目

「10月中の仕込み予定決めるけど、この日はどうしても休みたい、てのはある? 」 「17日は結納なんで、休みたいです」 「・・・・・・結納って、朝から? 」 「いや、昼ぐらいに両親が来て、それからです」 「どれくらい時間かかるもんかね? 」 「形だけみた…