孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

佐香錦

 「佐香錦」

 

 来歴

 島根県の奨励品種である「五百万石」「神の舞」「改良雄町」「幸玉」はいずれも心白が大きく、高度精白が難しかったことから、吟醸向きの削れる米を作ろう、という経緯で開発された品種らしい。調べてみたら、品種登録されたのは2001年だが、育成開始年は1985年で、「神の舞」と同年。「神の舞」は平成五年の大冷害の影響で急いで品種登録されたが、「佐香錦」は喫緊の課題でもなかったから後回しにされたのだろうか?

 「改良八反流」をベースに、「金紋錦(山田錦とたかね錦の交配種)」を掛け合わせて作られた。

 極早生品種であり、稈長はコシヒカリ程度だが、稈が丈夫で倒伏には強い。そのため収量も悪くない。

 千粒重は28グラム以上と非常に大きい。心白も大きくやや流れやすい。たんぱく質はやや高めで、米質は硬め。シャープで溶けにくい「五百万石」に対し、この品種は少し雑味というか、よく言えば味に幅のでやすい米だと言われる。勤めている蔵でもよく使う米なので、この米に触れる機会は多いが、とにかく割れやすい米だという印象がある。

 交配に使われた「改良八反流」「山田錦」「たかね錦」らの性質を考えてみると、良い悪いという話を別にして、あまり親とは似ていないように思える。どうしてこのような品種になったのかが不思議だ。品種改良って、奥が深いな。