孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

改良雄町

「改良雄町」 来歴 島根県農業試験場赤名分場で「比婆雄町」と「近畿33号」を交配し、昭和三十五年(1960年)配布開始。「雄町」の醸造適性を保ちつつ、早生化と短稈化を図った品種。詳しい経緯は知らないが(知っている人がいたら教えてください)、晩生の…

※亀ノ尾

「亀の尾」 かつて「亀ノ尾」が酒造用として島根県で広く栽培されていたという事実はない。そのもっとも大きな理由は、「雄町」を導入できたからではないか。 稲は短日植物といって、夏至からどんどん日長が短くなり、一定以下の日長時間(品種によって異な…

変わり穂

改良雄町の田んぼで草取りをしていたときに、変わり穂を見つけた。変わり穂とは、突然変異や自然交配、混種などによって、田んぼに植え付けた品種とは異なる性質を示す穂のことである。 別々の田んぼで二株見つけたが、どちらもよく似ている。一番下に置いた…

「旭」 来歴 明治41年(1908年)、京都府の山本新次郎が、在来種「日の出」から変種を発見、選出した。 当初は「朝日」と名付ける予定だったが、育成地の京都府ではすでに同名の品種が存在したため「旭」となった。当時の稲としては短稈で耐肥性があり、品質…

改良雄町の収穫

台風25号が近づいているので、慌てて改良雄町の収穫。 田んぼの中心辺り、日照条件の良いところに生えてたこの穂は、青米が五パーセント程度だから、改良雄町としてはこれくらいが刈り時のはずなんだけど。 ホッパーの米を見ると、思ってたより青が多い。 …

雄町

「雄町」 来歴 今更説明するまでもないかもしれない、言わずと知れた酒米界のビッグダディ。現代の酒米の中で、この品種の血が入っていない品種を探す方が難しいのではないだろうか(たかね錦系統と、八反の系統くらいか)。 安政六年(1859年)、備前国の農…

八反流

「八反流」 来歴 明治八年(1875年)に、広島県の大多和柳祐が在来種から「八反草」を育成。 明治時代、三浦仙之助によって「軟水醸造法」が確立されるなど、酒造業が技術的にも産業面でも大きく発展した広島で、県産の酒造好適品種としてこの「八反草」が見…

穀良都

「穀良都」 来歴 「穀良都」の祖先にあたる「都」は、天保三年(1832年)に弘永半助、内海五郎左衛門の二人が、旧藩主に同道して上洛している途中、摂津の国の西宮あたりで見つけて長州に持ち帰り、農民に試作させたものが大元である。その種を得た西宮の、…

曲玉

「曲玉」 来歴 この品種は農林水産省の農事試験場畿内支場で、「神力」と「福山」という在来種同士を交配して作られた。当初の呼び名は「畿内中69号」。育成開始年が明治四十一年(1908年)で、配布開始年が明治四十五年(1912年)とある。 現代の常識では、…

銀坊主

「銀坊主」 来歴 「銀坊主」は明治の三大品種「愛国」から選抜された品種である。「愛国」の出自には諸説あり、最も有力とされているのは、明治十五年に静岡県の高橋安兵衛が晩生稲「身上越」から出穂の早い株を選抜した「身上早生」が起源であり、明治二十…

八雲

「八雲」 来歴 島根県簸川郡大多美村の西尾彦一が明治二十九年、「八重桜」という品種の稲をハゼ干ししていた跡で、脱粒したこぼれ種から自然発芽してきた稲を選抜して「北部」という品種を育成した。この「北部」から、島根県簸川郡川跡村の梶谷市蔵が早熟…

亀治

「亀治」 来歴 亀治の来歴に関しては二つの説がある。 一つは、松江藩の蔵番の家に生まれた広田亀治が明治三年に「縮張」という晩生品種から選抜を行い、明治八年に品種として成立するようになった、という説。亀治の職業から「蔵本」と呼ばれたり、脱粒の少…