孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

六年目の真実

 僕が勤めている蔵では、酒米を委託精米で頼んでいるのだが、精米された米は三十キロ入りの紙袋に入れられて帰ってくる。

 この紙袋、上部を糸で綴じられており、この糸をきれいに外すにはちょっとしたコツがある。慣れていれば簡単なのだが、普段やらない人がやると、中々うまくいかなかったりする。

 ところが、今日、ふと米袋を見ていると、袋の下側に赤いナイロン線のような切れ込みが入っていることに気が付いた。何だろうと思って引っ張ったら、ナイロン線のようなものがツーっと引っ張られて、なんと、きれいに袋の口が開いてしまったではないか。

 今まで六年間気が付かなかったのだけど、これ、袋を開けるためのものだよな。

 パッケージに書かれている文字からして、どう考えても上側だと思っていた方が、実は袋の底側で、下側だと思っていた方が袋の開け口だったらしい。それならそうと、袋に書いておいてくれよ・・・・・・

 口の糸を切って袋を開けるのに慣れてしまっているから、別に時間のロスとかがあったわけじゃないけど、今まで気づかずにやっていたのがなんか悔やまれる。