孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

七面鳥

 先月、たまに使う通販サイトを見ていたら、「早期予約割引」というので、七面鳥が比較的安く売っていた。
 七面鳥というと、五キロくらいある巨大な肉塊のイメージで、一昔前のアメリカドラマならともかく、日本の一般家庭で供するにはハードルが高いように思える。
 しかし、通販サイトをみると、七面鳥は二キロのベビーターキーという小さめのものもあるようで、これならどうにか調理できないこともないかもしれない。
 値段も、二キロで3400円と案外安く、手が届かないこともないよなー、と、二・三日悶々としたあげく、ついに、買ってしまった。

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 せっかくだから、クリスマスに食べようと思って、冷凍していたものを、12月20日に解凍。
 七面鳥に付随していた、「ターキーが十倍楽しめる読本」という冊子を参考にして、氷水で急速解凍。

 解凍したら、これまた冊子を参考に、マリネ液に二日間漬け込む。マリネ液は、五パーセントの食塩水に、香味野菜(玉ねぎ、ニンジン、にんにく)とか、黒胡椒とかローズマリーとか香辛料を適当にいれて、ついでに豊の秋の地伝酒と、酒粕床(柔らかくなった酒粕に、味噌とみりんを加えたもの)を少し入れてみた。
 要するに、適当。
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 肉の準備ができたら、今度は中に詰めるスタッフィング(詰め物)の準備。今回はピラフでも詰めてやろうかと思う。
 ただ、ピラフというのは生まれてこのかた一度も作ったことがないような気がする。まあ、ターキーを焼くのも生まれて初めてなんだけど。

 適当に検索して出てきたサイトのレシピを参考に、冷蔵庫にあるもので作る。
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 バターで玉ねぎ、ニンニクを炒め、香りが出てきたら、七面鳥の砂肝と自家製のハムを刻んで入れる。
 そこへ、研いでから三十分くらい水切った生米をフライパンに入れて、米が透き通るまで炒める。
 米がいい感じになったら、フライパンの中身を全て炊飯器に移し、熱湯を入れて、普通に炊く。
 「なるほど、ピラフってこうやって作るんだな」と感心しながら調理。
 何となく物足りないような気がしたので、冷蔵庫の中にあった金華ハムを細かく刻んで入れ、カットトマトの缶詰もちょい足し。
 七面鳥のネックをグリルで焼いて、一緒に炊き込む。
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 炊き上がったピラフのあら熱をとって、七面鳥のお腹に詰める。詰めた上から、何となくフォアグラを乗せて、余った皮を被せ、つまようじでとめる。
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 全体に油を塗って、あとは焼くだけ。

 さて、どうやって丸焼きにしようか、と言うのが今回一番悩んだところ。
 家で使っている電子レンジは、オーブン機能がないシンプルなタイプなので、これでは焼けない。
 炭火で丸焼き、というのは難易度が高いし、詰め物をしていると、ぼろぼろこぼれそうである。
 寸どう鍋を使って低温で煮てから、バーナーで表面を焼こうか、とか考えていたが、明らかに丸焼きとは違う残念な感じの仕上がりになりそう。
 いっそダッチオーブンでも買うか? でも、年に何度も使うもんじゃないし・・・・・・。
 何かないか? と考えていたところ、そういえば、と、思い出した。
 以前、「家では使わないから」と、譲って貰った、コンベクションオーブンがあったはず。
 これは、オーブントースターと、ノンフライヤーが一体化したようなオーブンである。
 結構でかいから、我が家の小さなキッチンには置場所がなく、それに、トースターなら、魚焼きグリルを使えば良いし、ノンフライヤーは持っているから、使う機会がないな、と思ってしまいこんでいた。
 「そうだよ、あれを使えば良いんだよ」と思い付いて、納戸から引っ張り出してきて包装を剥がし、説明書の指示にしたがって、網の空焼きを行った。
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 記念すべき初仕事が七面鳥の丸焼きとは、こいつもオーブン冥利に尽きるだろう、と少し誇らしい気分で網をセットして、七面鳥を入れようと思ったら・・・・・・
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 入らない。

 マジかよ、どうしよう?
 もう詰め物も用意してしまったし、一旦常温に戻したから冷蔵庫に入れても長持ちはしないぞ。
 今からオーブン買いに行くか? いや、しかし・・・・・・とか考えて、さんざん悩んだ結果、自分で言うのもなんだが、画期的な方法を思い付いた。
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 ちょっと前に作った、自作の燻製器である。
 この燻製器は、電熱器と組み合わせて、温燻(60~80度)は可能になっている。
 七面鳥を焼く温度は120度くらいなので、この燻製器をちょっと調整して、チップを入れずに空焼きすれば、オーブンがわりになるんじゃないだろうか。
 実際、燻製器に使いなれない頃は、温度調整ミスって、熱を通しすぎたこともあったし、やってやれないことはないだろう。
 多段式の燻製器の一段目を使い、いつもより熱源に近い位置に七面鳥を置いて、保温のために燻製器に段ボールを被せる。
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 火事が怖いから、段ボールが直接熱には触れないようにしている。でも、さすがに怖いから加熱中は目が離せない。
 燻製器のサーモスタットは、最高温度五十度までだから、温度管理は、天辺の、段ボールに差し込んだ温度計を見ながら行っている。

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 二時間ほど付きっきりで見守って、どうにか、焼き上がった。
 うまそな匂いがして、色がよくって食いつきたいが、焼き立てを切ると肉汁が流れ出てしまうため、焼いてからしばらく身を落ち着かせた方がおいしいらしい。
 今日の夜に味見程度に食べて、明日まで我慢することにしよう。