孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

肥料を仕込んだ

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 修理に出していた管理機が戻ってきたから、有機質肥料の仕込みを再開。
 大体、もみ殻1トンくらいと米ぬか1,2トンくらいを使った。出来上がったら、ちょうど一町歩の田んぼに散布するくらいの量かな?
 反当200㎏ずつくらい散布することを考えている。堆肥というよりは、ぼかし肥料という位置づけ。
 堆肥とぼかしは何が違うのかというと、肥料に含まれる窒素の量。まあ、僕も含めて農家は割と言葉の定義には厳しくないから、人によって何を堆肥・ぼかしと呼ぶかはまちまちなのだが。
 僕の中では、C/N比(堆肥中の炭素の含有量を窒素の含有量で割った値)が25以上なら堆肥、以下ならボカシ、みたいな感覚。今回の堆肥のC/N比は大体20くらいだから、やや堆肥よりのボカシ肥料という事になる。
 堆肥をどの程度田んぼに入れるか、というのは結構悩みどころで、もみ殻主体でC/N比高い堆肥なら1トンくらい入れても問題ないし、土のこと考えるならむしろ良いことだと思うが、そうすると7haの面積に堆肥撒くには70トンのたい肥を作る必要があるわけで、原料を確保してくるのが大変。つーかそもそも家の堆肥だめに入りきらない。
 一応、頭の中にあるのは、土からの収奪量を基準にして堆肥を返す、イメージ。
 だいたい、一反の田んぼからは150キログラムのもみ殻が穫れるそうだ。そして、仮に玄米の収穫量が500㎏だったとして、玄米のたんぱく質が7%だったとすると、収穫のたびに田んぼからは一反当たり35㎏のたんぱく質が奪われる計算。たんぱく質の窒素量は16/1000という事だから、窒素量に直すと5,6㎏だ。
 米ぬかを窒素源にする場合、180㎏必要。もみ殻と合わせて330㎏を返さなきゃいけないことになるが、330㎏だとたぶん堆肥散布用のコンポキャスターに載らないと思われるので、コンポ積載量の上限を基準に考えてみた。収穫後に礼肥みたいなタイミングで散布して、足りない分の窒素は追肥で補う感じ。というか、できれば米ぬか除草を取り入れようと考えているから、追肥兼除草のために、追肥に使う窒素分の猶予は残しておいた方が良いだろう。

 今回は米ぬかを用いたけれど、本来なら酒粕を使ってボカシを作る予定だった。酒粕の場合、含まれるたんぱく質が米ぬかの倍くらいあるので、窒素量は100キログラム当たり5,8キロくらいになって、100㎏足らずで窒素量をすべて賄えることになる。もみ殻150㎏に対して50㎏くらい酒粕を添加すれば、ちょうどコンポキャスターに載るくらいの量になるだろうし、量が少ない分仕込みや切り返しの手間も減る。
 酒粕の処理はどこの蔵でも困っているし、「酒粕を使った堆肥で作った米」というサイクルがつくれたら、農家にとっても酒蔵にとってもよいことなんじゃないかな。
 問題は、酒粕は非常に獣をおびき寄せやすいことと、酒粕が手に入る時期。
 前者に関しては、堆肥だめをしっかり囲う事と獣の罠を設置することで防げると思う。というか、今年狩猟免許取りなおすつもりなので、イノシシでも寄ってきてくれたら儲けものである。
 しかし、後者に関してはなかなか悩ましいもので、もみ殻が手に入るのは9月以降になるけれど、酒蔵からすると前年度の酒粕は次の造りまでには処分したいだろうから、九月までには貰いに行く必要がある。しかし、踏み込み粕が熟成するのは7月ぐらいからとかだから、微妙にタイミングが合わない。
 もみ殻をどこかからか貰ってきてストックを作っておけば間に合うと思うけど、どちらにしても野菜の繁忙期である夏に集中して仕込まなきゃならんのは結構きつい。
 酒粕は、処理が面倒だという欠点もあるけれど、間違いなく良い肥料材料になるはず。どうにかして利用したいなー。