広島のスーパーで夜泣き貝という貝が売られているのを見かけた。
見たことない貝だなーと思って、値段もそう高くないし、なんとなくカゴに放り込んだ。
食べ方はわからないが、とりあえず巻貝なんだから茹でたら食えるだろう、と思って、鍋に湯を沸かして見た。
湯が沸くまでの間、暇だったのでネットで夜泣き貝のことを検索してみると、内臓が非常に苦く生以外では食べられない、という記述を見つける。
あぶねえあぶねえ、調べるのがあと三分遅かったら、そのままゆでてしまう所だった。
しかしそこまで苦いのか、と思って、刺身を作るついでに内臓を少し舐めてみたが、これは人間の食べるものではない。
広島では赤ん坊の夜泣きの薬に使う、などというが、こんなものを子供に舐めさせるのは、冗談抜きで幼児虐待である。
苦いというか辛いというか、口の中全体を侵す不快味で、舐めた瞬間に吐きそうになった。
しかし、内臓を取り去ると、筋肉の部分は磯臭くてうま味が強いのに後味もよく、どことなく上品でとてもおいしい。内臓をとるとほとんど食べられる部分は残らず、二百グラムくらいの貝から、大匙二杯ぶんくらいの身しか取れなかったけど。
この貝は、よその土地ではほとんど食べられることはないが(まあ、そうだろうね)、広島では例外的に高価で取引されるそうだ。パッケージには「刺身でも食べられます!」と書かれていたけれど、刺身以外では食べられないことをしっかり明記してほしかった。それとも、広島の人にとっては、この貝は刺身で食うものだってことは常識なのかな?