孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

韓国食材店

 広島へ米の配達にいった際に、嫁さんが前から気になっていたという、韓国食材の専門店に寄ってみた。
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 コンビニ跡地に入ったような感じで、店に入ったら、いかにも韓国っぽい感じのやたらと化粧の濃い店員が二人、やる気がなさそうに佇んでいる。普段コンビニの過剰なまでの接客に慣れているから、店員の態度に一瞬違和感を覚えた。が、かつて僕がコンビニでバイトしていた時には、「コンビニ店員にやる気を求めすぎだろ、やる気出してほしいなら応分の時給払えよ」とつくづく思っていたので、「そうそう、それでいいんだよ」と心のなかで頷く。まあ、接客態度の悪さが原因で店が潰れたら自己責任なんだけど。
 
 大体、コンビニだと雑誌並べているあたりに、韓流スターのポスターやらが置いてある。
 その対面の、ふつう髭剃りやらパンストやらが置いてあるところに、インスタントの袋麺が一面並んでいる。その裏の棚にもインスタント麺が並べられている。韓国ではインスタント麺が人気あるとか聞いたことがあったけど、どうも本当らしい。
 辛ラーメンとか、じゃがいものカムジャ麺とかは食べたことあったが、見たことない物もたくさん。ただ、大体辛いものばかり。そこまで辛いものが好きではないので、チャジャンミョンという比較的辛くなさそうな黒い麺を買ってみた。昔、テレビのニュースで、独身の日とかいう日に、韓国のモテない男が盛大にこの麺をすすりこむ、というのを見たことがあって、なんか気になっていたのだ。
 その隣と裏側にはスナックコーナーがあって、「これあからさまに日本のお菓子のパクりだよね」というものが並んでいる。チョコパイとか、ポッキーとか、かっぱえびせんとか。
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 かっぱえびせんは買った。
 食感はかっぱ完全にえびせん。味は・・・・・・こういう限定味だといわれたら、ありそうだな、と。

 パンコーナーのあたりには、韓国唐辛子やら、焼き肉のたれやらの調味料が並んでいる。
 かつてはペットボトルなどが並んでいたであろう冷蔵庫のドリンクコーナーには高麗人参飲料やら、健康食品系のお茶など並んでいる。なんかよくわからないけど、肝臓に良いというお茶を買ってみたら、キャラメルポップコーンみたいな風味がして、実に不味い。我慢して飲んでいたら、飲めば飲むほど不味く感じてきて、正直つらかった。よくわからない成分が、「23000mg入っている!」みたいな誇らしげな表示があるけど、ハングル読めないから、何が入っているのかわからないし。

 紙パックドリンクが並んでいるコーナーには韓国のり。おにぎりとかサンドイッチが並んでいるコーナーにはコチュジャン
 冷凍のボックスアイスが置いてある場所には、ニャクニョムとかいうキムチの漬けだれやら、キムチ用のアミの塩辛など、本格的なキムチ作りの材料も並んでいる。スーパーなどに売っているキムチのもとは、単にキムチっぽい風味のたれだけど、本格的なキムチは乳酸発酵させて、旨味やら酸味やらを出すので、真面目に作ろうとするとけっこう手間がかかる。
 僕も白菜はたまに作るので、出荷できない白菜で本格キムチは何度か作ったことあるけど、なかなかうまくできない。
 本場のキムチは僕には辛すぎて酸っぱ過ぎるので、もう少しマイルドに、と思って漬けだれにフルーツを使いすぎていたのが原因なのだと思う。フルーツの糖分が、乳酸菌の作用によって全て酸味に変わり、本場のもの以上に酸っぱいキムチになってしまった。スーパーなどで売っている国産の食べやすいキムチは、少量を短期間で食べきる事を前提にして維持される味であって、大量に作って長期間保存するには向いていないのだろう。
 本格キムチの材料として、アミの塩辛は不可欠だとされているけど、これは塩分、うま味のもとになるだけではなく、糖分ではないアミノ酸由来の甘みを加えることによって、口当たりを良くしているのではないか、などと思ったり。
 韓国唐辛子には辛味だけではなく甘みやうまみが多いので、キムチづくりにはやはり韓国唐辛子を使わなければなければならないが、やまやみたいな輸入食品店で売っている韓国唐辛子は、大抵中国で栽培された韓国唐辛子だそうで、やはり韓国産とは物が違うそう。この店には韓国産であることを誇らしげに名乗る唐辛子が売られていたが、中国産に比べると値段は三倍くらいする。これまで僕がつくるときには中国産の韓国唐辛子を使っていたが、唐辛子を変えたら味も変わるのだろうか? 
 ていうか、そもそもキムチはそんなに好きじゃないから、白菜が大量に余るとキムチを三十キロくらいつくったりするけど、自分では一キロも食べないでほとんどは他の人に配り歩いている。キムチ作りの材料費を考慮すると、もったいないとか言わずに、普通に白菜を廃棄したほうが良いのだけど、つくること自体は楽しいからつい、作ってしまう。悪癖である。

 国内旅行でも、地元のローカルスーパーなどを見て回って、対外的に良く知られた名物にまではなっていないが、地元民は当たり前のものとして消費している未知の物品を探し購入するのは、楽しい体験である。それが海外のローカル定番商品となると、もっと未知のわけのわからなさが増して、ワクワクしてくる。
 この手の輸入食材店ではそういうワクワク感を感じられるから好きなのだけど、コスパの面でいうと全体的に、韓国のスーパーで普通に売られている定番商品を、2~3倍くらいの値段付けて稼いでいる感じで、割高感を覚えた。
 わざわざ韓国に行って買う事を考えたら手軽かもしれないが、ネットの輸入食材店を調べたらたぶんもっと安く手に入りそう。
 実店舗で、見たこともないような商品を手に取って見られる、という体験は得難いが、正直なところ、一度行ったらわざわざ通い詰めるほどでもないかな、とは思った。