孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

酒粕の還元

 搾りが大分進んできて、酒はどんどん出て行っているけど、酒粕は売れない。

 たぶん、他の多くの酒蔵でも同じような状況なのだと思う。元来、酒を造る際にでる副産物であるので、需要に合わせて供給量を調整するなどという事は不可能だからだ。

 粕汁などにすると結構おいしいし、栄養価もあるけれど、こればっかり食っているわけにはいかない。粕漬けにしても、毎日食うような人は少ないと思う。たぶん、酒粕の需要自体は減り続けているだろう。

 化粧とか、焼酎原料などにも用いられるが、酒を造れば嫌でも出てくる酒粕の、ほんの数パーセントくらいにしかなってないのではないか。

 

 個人的には、肥料化するのが一番理にかなっていると思うのだが。

 酒造りで主に使われるのは、米に含まれているデンプンであって、これ以外の成分はできれば少ないほうが良い、とされている。

 一方で、米作りの肥料としては、デンプンはあまり重要ではなく、難分解性の炭水化物とか、アミノ酸、ペプチドなどの窒素質のが大切。

 ごくごく単純に考えると、稲という植物は光合成によって米、というか主にデンプンを作るわけだが、収穫の際にデンプンと一緒に田んぼから持ち出してしまっている、もみ殻や米ぬか、ミネラルなどを還元してやれば、ほとんど永続的な再生産が可能になるはずで、それ以外の余計なものが入らないから、生態系的にも良いような気もする。

 問題は、酒粕は処理がメンドクサイというところで、これを解決するためにマニアスプレッダーを買ったり、堆肥小屋の建造計画を練ったりしているのだが、コスパやらなんやらを考えると、少なくとも短期的に得をするという事にはならなさそうなのが、困ったところ。

 長い目で見ると間違いなく良いことのはずなんだけど、なぜ良いのか、どのように良いのか、という事を(特に農家以外の人に)説明するのが難しいから、その辺を説明できるかどうか、だなー。