孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

亀治の品種特性

 品種の来歴についてはこちら

 

 四月二十日に浸種。芽を切るのはわりと早く、四月二十七日頃にはいわゆる鳩胸状態になっていた。

 五月九日に播種。温床マットを用いて三十二度で二日間加温し、芽出し。発芽率良好。

 五月二十七日に定植。苗の生育は良好。

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 晩生品種たちの中では割と生育が早い。

 

 八月二十四日出穂。

 十月八日成熟、刈り取り。

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 晩生という事になるのだろう。ただし、福山、中生曲玉、雄町などと比べると出穂期には一週間差がある。邑南町では盆過ぎると急に気温が下がって積算温度を稼げなくなるので、この時期の一週間の差は大きい。

 出穂から成熟までの積算温度は1022度。九月中旬以降では平均気温が十五度を下回る日が増えるが、これくらいの出穂期なら邑南町でもギリギリ登熟は間に合う。

 

  茎数23本くらい。一穂粒数250粒くらい。草丈118センチくらい。穂長24センチくらいで、桿長95センチくらい。

 茎が長いわりに強くて、素直に育ったな、という印象。台風二十四号・二十五号にも耐えた。それにしても長くて、一穂粒数が多い。いかにも昔ながらの品種である。

 亀治はいもち病に強く、また気象条件が変化しても安定的に収量が得られるという特徴から、広い地域で栽培されるようになった品種だと言われている。今回観察した限りではその辺のことはよくわからなかったが、同条件で栽培した他の品種に比べても、背が高いという以外には別に欠点らしい欠点も見つからなかった(あくまで今回栽培した古い品種の中ではという話だが)ので、当時としては育てやすい品種だったのだと思う。

 

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 千粒重は25.8g、心白発現率は9%。

 近所の直売所の食味計によると、水分16.3%、たんぱく質8.1%、アミロース値17.0%。

 

 透き通ったきれいな外観で、粒ぞろいもなかなか良い。

 心白発現率は低めだが、千粒重が思ったより大きい。食味計の数値が確かであれば、たんぱく質はほどほど、アミロース値がやや高いということになるので、サバケは良いのかもしれない。

 登熟期間の気温から考えると、消化性が良い(アミロペクチン側鎖が短い)米になるのかな? 

 心白がほぼない事は大きな欠点だけど、その他の性質や栽培性を勘案すると、意外にこの米は酒米にしてみても面白いかもしれない、と個人的には思った。