広島菜の収穫をしてみて驚いた。
ほとんど全ての株に根コブがついている。
根コブ病はアブラナ科にとって致命的な土壌病害であり、一度出始めると根絶が難しい。前々からこの畑では根コブの兆候が見られていたから、今年はかなり力をいれて対策を行っていた。
根コブ病にやられると、作物の根が肥大し、根から養分の吸収が行えなくなる。通常なら三キロ以上になる広島菜が、一キロそこそこで生育が止まり、歩留まりがめちゃくちゃ悪くなる。根コブにやられた作物を見分けるのは簡単で、根の働きが悪くなるから水や養分が吸えなくなり、晴れた日の日中などは萎れて見える。
今回の広島菜の場合、日中にも萎れた様子はないし、二キロくらいまでは順調に育っていたわけだから、対策が効を奏した、と安心していた。
実際、ほとんど全ての株に根コブがついたにもかかわらず、ある程度までは大きくはなったわけだから、被害を軽減できたという意味で、対策の効果はあったのだろう。
ただし、根コブによって養分の吸収がしにくくなり、その事が原因で、カリウム不足が起こり、白斑病の被害が拡大したとも考えられる。
根からの吸収が難しくなった場合、葉っぱから吸収させるしかないが、昨年に肥料設計を変えていたため、リン酸・カリウムの葉面散布剤を使わなくなっていた。そのため、白斑病の被害が増えてきたのだろう。
けっきょく対症療法としては、元肥を増やした上で、葉面散布でリン・カリウムを効かせるのが正解だったわけだが、根コブ病を出さないようにしなければ、根治できないだろう。
土壌病害を抑えるのは難しい。
土壌、環境、水はけ、作付けの時期や品種、肥料設計など、合わせ技で対応するしかない。
薬を使うのは最終手段だけど、使ったところでたいして効果がないのが土壌病害の難しいところ。
コストをかけずに行う、という但し書きがつくと、さらに難しくなってくる。
10月半ばから酒蔵で働くことを考えると、広島菜のこの作型はあまり変えたくないのだが、思いきった作付け体系の変更も必要になってくるのかもしれない。
ていうか、いっそのこと野菜は全部やめてしまって、農業は酒米一本でやっていきたいと、昔からずっと思っているのだけれど。