孤独の発明

主に米作りとか酒造りについて

八雲

 「八雲」

 来歴

 島根県簸川郡大多美村の西尾彦一が明治二十九年、「八重桜」という品種の稲をハゼ干ししていた跡で、脱粒したこぼれ種から自然発芽してきた稲を選抜して「北部」という品種を育成した。この「北部」から、島根県簸川郡川跡村の梶谷市蔵が早熟の個体を見つけ、大正一年に「早北部」を育成した。「早北部」は別名「早生北部」「九反早生」、そして「八雲」という名でも呼ばれた。

 ジーンバンクのデータを見ると、稈長は80~90センチ程度で、分げつは少なくどちらかというと穂重型のようだが、倒伏には強い品種だったらしい。いもち病に対する抵抗性もあるようだ。出穂期は八月二十日~三十日あたりで、中晩生。千粒重が24グラム程度、やや大粒の品種だが、心白発現率は少ないらしい。

 いかにも島根らしくて素敵な名前だと思うけど、この品種を復活させて酒造りをしているような例は、今のところまだ無いみたいだ。

 この品種については、平成三十年度に試験栽培を行った。品種特性はこちら